HERO for Kids:ヒーローずかん

2025.08.01

手で話すって、どういうこと?


西脇 将伍にしわきしょうごさん手話表現者しゅわひょうげんしゃ

“POマン(ぽ・まん)”と呼ばれていました。

こんにちは!手話表現者しゅわひょうげんしゃ西脇将伍にしわきしょうごです。ぼくは生まれつき耳がきこえなくて、手話しゅわでたくさんの人と気持ちを伝え合っています。小さいころ、ぼくはよく「ポ?」って言っていました。これは親指と小指を立てて鼻の辺りに持っていく手話しゅわで、「なんで?」「どうして?」っていう意味なんです。なんでもすぐに「ポ?」ときくから、「POマン(ぽ・まん)」ってよばれていました。

もっと知りたい!を叶えてくれるのが手話しゅわ

(写真:西脇にしわきさん提供ていきょう

ぼくが小さいころ、先生が声だけで絵本を読んでくれたことがありました。でも、それだと詳しいお話がわからなくって・・・。なんでも知りたいPOマンのぼくにはそれが退屈たいくつで、帰りの車で「何を言っているのかわからない!」って泣いちゃったんです。そのとき、お母さんが手話しゅわで絵本を読んでくれました。ようやく「あっ、そういう話だったのか!」ってわかって、すごくうれしかったんです。その笑顔を見て、みんなが手話しゅわを使える学校に入ることを決めてくれたんです。

同じ“ことば”で話せる学校生活

入学した明晴学園めいせいがくえんでは、日本手話にほんしゅわ日本語にほんご両方りょうほうを学べるんです。みんなが同じ手話しゅわを使うから、友だちともけんかしたり、ふざけたり、自由に話ができました。他のろう学校だと、手話じゃなくて口で話す人や、補聴器ほちょうきをつける人もいて、言葉がバラバラなこともあります。でも明晴学園めいせいがくえんでは、みんなが同じ“ことば”で話せた。だから、気持ちがちゃんと伝わったし、たくさんの楽しい思い出ができました。

(写真:西脇にしわきさん提供ていきょう

高校での新しい挑戦ちょうせん

中学校までろうの環境で育ったぼくは、高校こうこうからきこえる人たちの学校に進みました。理由のひとつは、野球やきゅう。強いチームで野球やきゅうをしたかったんです。それと、きこえる人たちの世界に興味きょうみがわいてきたからです。

最初は、本当に戸惑とまどいました。たとえばメールの書き方ひとつとっても、文化が全然ちがっていて。でも、友だちや先生が助けてくれて、少しずつれていきました。このとき気づいたんです。「きこえる人との間には、ちがいもあるけど、努力どりょく工夫次第くふうしだいで乗りこえることもできる」って。この経験けいけんが、のちの活動にもつながっていきました。

手話しゅわ魅力みりょくを伝えるために

大学生になって、あらためて手話しゅわのことを見つめなおしました。でもそのとき、「このままだと手話しゅわやろう文化ぶんかがなくなってしまうかもしれない・・・」と心配になったんです。そこからぼくは、手話しゅわやろう文化ぶんかのすばらしさを、もっと深く考えるようになりました。そしてその魅力みりょくを、たくさんの人に伝えたいと思うようになりました。手話しゅわを使って舞台ぶたいに出たり、テレビやイベントに出たり、「手話表現者しゅわひょうげんしゃ」として活動するようになったんです。

そして今、東京2025デフリンピックに向けて、手話しゅわを使った新しい応援おうえん「サインエール」をつくっています。“目”で伝わる応援おうえんで、ろうの選手たちに、心から力を届けたいと思っています!

みんなへのメッセージ

知らないことを知るって、ちょっと勇気がいるけど、とても楽しいことです。​手話しゅわやろう文化ぶんかも、知ればきっとおもしろいと感じられるはず。​デフリンピックを​とおして、​新しい世界をのぞいてみてください!