HERO for Kids:ヒーローずかん

2025.11.07

きこえない人の魅力みりょくつたえる

保科ほしな 隼希としきさん手話通訳士しゅわつうやくし

手話しゅわとの出会であ

ぼくの祖父母そふぼは、ろうしゃです。小さいころは、母の手話しゅわ筆談ひつだんで話していたので、ぼく自身は、あまり手話しゅわを使うことがありませんでした。
そんなぼくが手話しゅわ夢中むちゅうになったのは、大学の授業じゅぎょうがきっかけです。亜細亜あじあ大学だいがくには、きこえない学生もいて、手話しゅわ授業じゅぎょうがありました。授業じゅぎょうを通して、きこえない友だちと手話しゅわで話すうちに、「もっと手話しゅわで話したい!」と思うようになりました。

インタビューに応える保科さんの写真

手話しゅわは「人と人をつなぐ言葉」

手話しゅわは“福祉ふくし”のためだけのものではなく、「言語げんご」です。手話しゅわで話すと、相手の目を見てしっかりと気持ちをつたえられます。
以前、子どもに手話しゅわを教えたとき、その子がけんかしていたお母さんに手話しゅわで「好きだよ」とつたえたそうです。声では言えないことも、手話しゅわならつたえられることもある。手話しゅわって、そんなすてきな力を持った言葉なんです。

手話しゅわ通訳士つうやくし目指めざして

大学を出たばかりのころ、すぐには手話しゅわ通訳つうやくのしごとには進みませんでした。アパレルのお店でアルバイトをしていたとき、東京2020パラリンピックで手話しゅわ通訳つうやくをするチャンスがあったんです。

それが、本気でこの道を目指めざそう!と思ったきっかけでした。

そのとき、大学の先生である橋本はしもと一郎いちろう先生が、たくさんのことを教えてくれて、今の道を歩き出すことができました。

インタビューに応える保科さんの写真

通訳つうやく」は人の魅力みりょくつたえるしごと

遠くを見つめる保科さんの写真

ぼくが手話しゅわ通訳つうやくのしごとでいちばん大切にしているのは、「その人の魅力みりょくをそのままつたえること」です。

きこえない人たちは、明るくてユーモアのある人が多いんです。
だから通訳つうやくするときは、話し方や表情ひょうじょうまで、その人らしくつたえるようにしています。

ぼくのしごとは、ただ言葉をやくすだけではありません。
「まるで本人が話しているようにつたえる」ことが、いちばんの目標もくひょうです。

そして、きこえない人たちの世界を、きこえる人にも知ってもらうこと。
それが、ぼくがこのしごとを続けている理由なんです。

世界で感じた デフスポーツのちから

2022年、ブラジルで開かれたデフリンピックを見に行きました。
会場では、観客かんきゃくの人たちが手をひらひら〜っと動かす拍手はくしゅ手話しゅわをみんなでしていて、その光景こうけいがとてもすてきでした。

そして次は、東京2025デフリンピック。選手も観客かんきゃくも、みんなが楽しめる大会にしたいと思っています。

手話しゅわがわからなくても、笑顔や気持ちはちゃんとつたわります。ぜひ会場で、応援おうえんしてくださいね!

インタビューに応える保科さんの写真

みんなが同じように楽しめる世界へ

笑顔で手話をしている保科さんの写真

ぼくは、手話しゅわ通訳つうやくが当たり前にある社会をつくりたいと思っています。
きこえない人も きこえる人も、同じように楽しめる世界にしたい。

そのために、手話しゅわをもっと身近みぢかに感じてもらえるような活動をしています。

みんなも、もし手話しゅわに出会ったら、少しでも覚えてみてください。
言葉がふえると、出会える人も、わかり合える気持ちも、ぐんと広がります。

手話しゅわは、みんなをつなぐ「もうひとつの言葉」。
その言葉を通して、世界はきっと もっとやさしくなれます。