HERO for Kids:ヒーローずかん

2025.11.07

ありがとうをつたえたい

中田なかた 美緒みお選手|デフバレーボール

サッカーからバレーボールへ

小さいころはサッカーが大好きでした。ずっとチームでがんばっていたけど、中学校でろう学校に行くことになったとき、サッカー部がなかったんです。かわりにあったのは、バレーボール部。

手話しゅわで話せる仲間と、同じチームでできるのは楽しそうだなって思いました。それに、お姉ちゃんがバレーをしていたこともあって、「やってみようかな」って気持ちでスタートしました。

バレーボールをする中田選手の写真

手話しゅわがつなぐチームの力

インタビューに応える中田選手の写真

初めてのバレーはぜんぜん上手じゃなかったけど、先輩せんぱいたちのまねをしながら、少しずつ上手くなりました。できるようになったときはうれしくて、もっとやりたくなって、それが今もつづいています。

大学では、きこえる人たちとバレーをすることになりました。声がきこえないわたしは、みんなに「こんなサインで教えてね」って、自分からお願いして、プレーしやすくなるようにがんばりました。

つたえることでかわった景色けしき

大学のチームでは、最初は言葉の壁があってなかなか思いが伝わらなくて、バレーが楽しくなくなってしまったこともありました。でも、デフ日本にほん代表だいひょうの監督から「まずは自分のことをちゃんと説明して」ごらん」と言われて・・・。それで、自分の『きこえないこと』について、チームのみんなへしっかりと説明したんです。

自分の耳のこと、手話しゅわのこと、どんなサインがわかりやすいか――。そのとき、チームがすごく変わりました。「もっと話しかけるね」「一緒いっしょにがんばろう」って言ってもらえて、本当にうれしかったです。

チームメイトとの写真

相手をまどわしたら勝ち!

心の中でガッツポーズする中田選手の写真

わたしのポジションはセッター。アタックを打つ人に、トスでボールを送るしごとです。だれにトスを出すか、どこをねらうか、いつ出すか――たくさんのことを一瞬で決めなきゃいけない、すごく大切な役目です。

一番好きなのは、相手のブロックの動きの逆をつけたトスが、ぴったり決まってアタックが成功したとき!「よし、相手をまどわせた!」って、心の中でガッツポーズしています(笑)。

仲間につたえていく日本代表の伝統

デフ日本代表としてプレーして、もう10年以上になります。初めて出たときは、まわりの人たちが大人で、ちょっとこわかったけど、今では自分が伝える立場になりました。

先輩せんぱいが教えてくれた大切なことを、今の仲間や、これからの選手に伝えていきたいと思っています。

「目は高く、頭は低く、心は広く」――これは、わたしが大事にしている言葉。常に感謝の気持ちを忘れずに、毎日「ありがとう」を伝えています。

チームメイトとの写真

「1点」を一緒に楽しもう!

頭にボールをのせ、こちらを向いて笑っている中田選手の写真

東京2025デフリンピックでは、金メダルをとりたい! そのために、1点の大切さを、みんなに見てほしいんです。バレーは、たった1点でも、チーム全体が心をこめてつくり出します。その1点に、ドキドキしたり、思わず声を出したりしてくれたら、わたしたちもうれしいです。
全力のプレーを、みなさんといっしょに楽しみたいです!
会場で会える日を楽しみにしています!