サッカーからバレーボールへ
小さいころはサッカーが大好きでした。ずっとチームでがんばっていたけど、中学校でろう学校に行くことになったとき、サッカー部がなかったんです。かわりにあったのは、バレーボール部。
手話で話せる仲間と、同じチームでできるのは楽しそうだなって思いました。それに、お姉ちゃんがバレーをしていたこともあって、「やってみようかな」って気持ちでスタートしました。

手話がつなぐチームの力

初めてのバレーはぜんぜん上手じゃなかったけど、先輩たちのまねをしながら、少しずつ上手くなりました。できるようになったときはうれしくて、もっとやりたくなって、それが今もつづいています。
大学では、きこえる人たちとバレーをすることになりました。声がきこえないわたしは、みんなに「こんなサインで教えてね」って、自分からお願いして、プレーしやすくなるようにがんばりました。
伝えることでかわった景色
大学のチームでは、最初は言葉の壁があってなかなか思いが伝わらなくて、バレーが楽しくなくなってしまったこともありました。でも、デフ日本代表の監督から「まずは自分のことをちゃんと説明して」ごらん」と言われて・・・。それで、自分の『きこえないこと』について、チームのみんなへしっかりと説明したんです。
自分の耳のこと、手話のこと、どんなサインがわかりやすいか――。そのとき、チームがすごく変わりました。「もっと話しかけるね」「一緒にがんばろう」って言ってもらえて、本当にうれしかったです。

相手をまどわしたら勝ち!

わたしのポジションはセッター。アタックを打つ人に、トスでボールを送るしごとです。だれにトスを出すか、どこをねらうか、いつ出すか――たくさんのことを一瞬で決めなきゃいけない、すごく大切な役目です。
一番好きなのは、相手のブロックの動きの逆をつけたトスが、ぴったり決まってアタックが成功したとき!「よし、相手をまどわせた!」って、心の中でガッツポーズしています(笑)。
仲間に伝えていく日本代表の伝統
デフ日本代表としてプレーして、もう10年以上になります。初めて出たときは、まわりの人たちが大人で、ちょっとこわかったけど、今では自分が伝える立場になりました。
先輩が教えてくれた大切なことを、今の仲間や、これからの選手に伝えていきたいと思っています。
「目は高く、頭は低く、心は広く」――これは、わたしが大事にしている言葉。常に感謝の気持ちを忘れずに、毎日「ありがとう」を伝えています。

「1点」を一緒に楽しもう!

東京2025デフリンピックでは、金メダルをとりたい! そのために、1点の大切さを、みんなに見てほしいんです。バレーは、たった1点でも、チーム全体が心をこめてつくり出します。その1点に、ドキドキしたり、思わず声を出したりしてくれたら、わたしたちもうれしいです。
全力のプレーを、みなさんといっしょに楽しみたいです!
会場で会える日を楽しみにしています!